企業との直接質問会を終えて迎えた12回目の活動。多くの疑問が解き明かされていくと同時に、部員たちの中では様々な課題が浮き彫りになっていました。小学生から高校生までいるグループでは、多彩でユニークなアイディアは出るものの、そのどれもが商品販売のための手段や方法論に偏ってしまっていたのです。そして、それらのほとんどが企業にとっては既に試行されていたり、実現にはかなりの困難が伴うものであることが明らかになってきていました。教室にも少しずつ閉塞感が漂い始めます。そこで、中村さんはもう一度部員たちに語りかけました。
「そもそも君たちは、なぜその商品を売るのでしょう?」
静まり返る教室。自信なさげにうなだれる姿もありました。答えに困った部員たちは、自分たちには他の人を巻き込めるような動機や目的、つまり「ストーリー」が欠けていることを痛感したのです。中村さんの語りは続きます。
「実は、アイディアや解決策に価値はありません」
「大切なことは、他の人から応援されるような魅力的なストーリーを描き、行動することなのです」
そして、いま世界中の人々から支持されているテスラを例に説明をしてくださいました。テスラは世界で最も時価総額の高い企業の一つです。なぜここまで人々を魅了し、夢を託されるのでしょうか。その理由は、テスラが掲げる「ストーリー」にありました。
「世界を持続可能なエネルギーに変える」
テスラが掲げるこの「ストーリー」は、地球上のすべての人々が当事者となる重要なミッションです。このように、多くの人が当事者として関われる「ストーリー」を持つかどうかが、自分たちの活動が支持されるか否かを分けるのです。
さあ、もう一度「ストーリー」作りへ。企業もみんなもワクワクするような、夢を託せる最高の「ストーリー」を仕上げよう!